正義のためなら人間はどこまでも残酷になれる

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【ウルトラサンムーン考察】アクジキングの惑星、ウルトラビルディングとキャッチコピーに込められた意味

※当記事は「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」のネタバレを激しく含みます。作中でアクジキングを捕獲するまで進むか、ネタバレを覚悟の上で読み進めてください。

 

 

 

 

 

 もはや恒例……というのもおかしな話だが、如何なる作品にも残される謎というのは存在する。およそ2週間前に発売したばかりの「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」(以下、ウルトラサンムーン)においても例外ではなく、多くの謎や疑問が残されている。

 

 今回はその中でも格別に大きな割合を占めており、且つウルトラサンムーンの中枢とすら考えられるウルトラビルディングとアクジキングについての話をしたい。

 

 当記事は冒頭にもあった通り一応作品をプレイ済みの方を読者として想定しているが、そうでない方も読めるように、また内容のおさらいという形も含めてまずウルトラビルディングやアクジキングについて少し説明を挟んでいる。

 無論、既にプレイ済みで読む必要がないという方は説明部分を飛ばして読んでもらっても構わない。

 

ウルトラビルディングとは?

 

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  ウルトラワープライドにて到達可能な、白ワープホール(ウルトラビースト確定)の最高レアポジションに存在するエリア。それがウルトラビルディングである。

  人間が吸うには好ましくない空気が蔓延し、空には靄がかかっている。エリア最奥にはアクジキングがおり、それ以外にはポケモンもアイテムも存在しない。

  では何があるのかと言えば、「無い」が在るのだ。

 例えば、こちらの写真。

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  方々に散らばった残骸のような物の中には近づいて調べることの可能な物もあり、それら全てが元の形を失い、破壊されている。

 

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  破壊されたオブジェクトを調べると、アクジキング捕獲(あるいは倒す)後にこの世界にたった一人残ったという人間(?)から、その世界についての話をそれぞれのオブジェクトに結び付けて聞くことができるが、これといってアイテムが貰えたりするわけでもない。

 

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 しかし、ただ1体のウルトラビーストがいるだけのエリアにしては複雑怪奇に過ぎる……そんな風に見えはしないだろうか。

 

 ウルトラビルディングの正体とは

  本題に入ろう。

  ここからは筆者の推測、憶測も含まれる内容となる。取り扱いには十分注意していただきたい。

  まずは先ほど貼ったこちらの写真を再び見てもらいたい。

 

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これと似たようなオブジェクトを、我々プレイヤーは既に目撃している。

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 ウルトラビルディングのものは横に倒れているため見にくいかもしれないが、これはハウオリシティ手前にある門の一部分と非常に似ているように見えないだろうか。

 

 続いてこちら。

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 主人公の足元にあるのは。右側が欠け汚れているが何かのパネルに見える。しかも、これもまたプレイヤーが既に見たことのあるデザインだ。

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 そう、アローラ観光案内所のドア上にあるパネルである。

 

 廃棄物ばかりの星には、なぜかアローラで見たことのあるオブジェクトばかりが転がっているのだ。

 

 他にも、アローラで見たことのある物が辺り一面に転がっている。

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 この真ん中が欠けたアーチは、

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 乗船所に置いてあるアーチにそっくりではないだろうか。

 更に付け加えるなら、アローラにある3つの乗船所(メレメレ、アーカラ、ウラウラ)のうち、アーチの足に黄色系の花が刺さっているのはメレメレ島。つまり、ハウオリシティにあるものに限定して似ていると言える。

 

 冒頭に挙げた、ロトムが登場している写真も同じ指摘ができる。

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 これはある馴染み深い箇所と酷似している。

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 そう、初めてロトムと一緒にポケファインダーを起動した場所と、あまりにも似ている。

 加えて、ロトムと話している写真の主人公の左隣。何か、マークのような看板のような、汚れた何かが落ちているのがわかる。

 

 よく見ると……

 

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 まるで、ブティックの看板のように見えないだろうか?

 

 信じがたいことだが、ウルトラビルディング内には更に「マラサダショップ」「ヘアサロン」の看板に見える「何か」までもが落ちているのだ。

 ……まるで、悪夢でも見ているかのようである。

 

ハウオリシティとウルトラビルディング

 先程までに挙げたウルトラビルディングに落ちている謎のオブジェクトは、全てアローラ地方、メレメレ島のハウオリシティにあるという共通点がある。

 偶然メレメレ島から流れ着いたのだろうか?

 否、そうではない。 

 勘の良い方はもうお気づきだろうが、敢えて仮説として挙げさせてもらいたい。

 

 ウルトラビルディングは、ハウオリシティなのではないだろうか。

 

 それを力強く裏付けるものが、こちらである。

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 この看板に対したった1人残った住人曰く、「他のガレキよりも古い時代のもので、サビがひどいことから金属にとってよくない場所に置かれていたのかも」とのこと。

 ここまでくると、もう当てはまる物は1つしかない。

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 ハウオリシティにあるハウオリ役所の看板である。

 「金属にとってよくない環境」というのは、海に面した立地故に吹き込んでくる潮風のことだろう。なぜ潮風が金属にとってよくないのかは、今これを見ているお手持ちのブラウザで調べていただきたい。

 

 また、ハウオリ役所の内部に見られた物も、ウルトラビルディングでは確認できる。

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 この「引越し届け」、ウルトラサンムーンでは登場しないのだが、実はもう一つのアローラ(つまり前作のサンムーン側)ではハッキリと登場している。

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 前作、サンムーンではハウオリ役所で引越し届けを使っている描写がしっかりと入っている。

 なお、引越し届け自体はサンムーン体験版にて直接役所に届けにやって来るシーンがある。

 

 他にも、ハウオリシティのみに確認されているオブジェクトが。

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 ここで主人公の目線の先に置かれている見るも無残なガレキは、赤い色や残った形状から見るにおそらく、

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 ハウオリシティでイリマとドーブルがペンキを塗っていたこの柵ではないだろうか。

 

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 この謎のモニター自体はハウオリシティには無かった物だが、映っている内容はおそらくハウオリシティのビーチサイドエリアと思われる。

 

 更に、ウルトラビルディング内ではなぜか常にブツ切りの不審なBGMが流れている。

 何かと思うかもしれないが、実はこれすらもプレイヤーが既に耳にしていたBGMであり、何を隠そうハウオリシティのBGMを逆再生したものなのである

 

ハウオリシティに何が起きたのか?

 ここまでの資料を見る限り、ウルトラビルディングは「サンムーンシリーズよりも時系列が後の世界のハウオリシティ」「サンムーンシリーズとは別の歴史を辿ったハウオリシティ」のどちらかであると推測できる。

 では、ハウオリシティに一体何が起きたと言うのだろうか?

 たった1人アクジキングと共に残った住人の口からは「主人公の顔や別世界があることを知っている」「他の"みんな"は違う星に逃げた」「この星ではアクジキングは『食いしん坊くん』と呼ばれずっと昔からその星に住んでおり、ゴミや汚染物質であろうと食べることができ、最近では数が減ってきている」「基本的に水は濾過しないと飲めない」「青という色を映像でしか見たことがない」「対汚染スーツを着用しないと命に関わる環境である」「発電所の話をすると祖父世代が嫌な顔をしていた」「アクジキングの食欲をコントロールできないため他の星に連れて行くことができなかった」という情報がもたらされる。

 これらの情報から、ハウオリシティ滅亡までのある筋書きが予想される。

 

 

 アローラ地方の電力は、元々ウラウラ島にある地熱発電を主として成り立っていた。しかし、ある時期を境に電力の不足が生じ始めた。それはアローラに人が増えたからか、地熱発電が利用できなくなる事態に陥ったか、あるいはその両方か。

 それを解消するためには新たな電力を生み出す必要があった。栄えていたハウオリシティ付近に建設されたその発電所はまさしく人々の希望であり、「安全、安心」を謳ったそれを、多くの人間は疑いなく受け入れた。

 月日は流れ、より人々を囲む科学力は進歩を続けた。人類が長らく目指していた宇宙への進出に手が届き、ウルトラホールを通る別世界への研究も盛んに行われ全てが順調であるように思っていたのだ。少なくとも、人間は。

 そんな中アローラを、いや全世界を震撼させる災害が発生した。災害はアローラの人々が神と崇めるポケモンによるものだとも、アローラの外の地方の伝説のポケモンによるものだとも言われたが、多くの人間の関心は既に原因の究明には向いていなかった。

 なぜなら、ハウオリシティ付近に建設された発電所から災害の影響で人間、ポケモン共に有害な物質が大量に流れ出し、そのまま海を渡って被害が拡大し続けていることに対しての処理で手一杯の状態だったからである。

 やがて、人間とポケモンが営みを築いた年月の何倍もの速さで世界は汚濁に満ちていった。この人災は人々の手には有り余ると気付いた人間は、開拓され始めた宇宙やウルトラホールの先へ、星を見捨てて逃げ始めた。

 そんな時、どこからともなく黒く大きな口を持つポケモンが現れた。そのポケモンは常に飢えており、ガレキや土、汚染物質などですら躊躇いなくたいらげ、口に入れた物は二度と出て来なかった。その星にとってそんな都合の良い生物が現れ(しかも1匹ではなく、何匹もいるのだ)、残った人々の間では「あれは新たな神なのかもしれない」「いや、人が造り上げた新しい生物だろう」と噂が飛び交い、やがて誰かが口にした「食いしん坊くん」という名で呼ばれるようになった。もしかすると、水すらおいそれと口にできない世界においてはその名前自体が皮肉だったのかもしれない。

 そうして更に時間が経ち、残された対汚染スーツの中である者は死に、ある者は子供を残し、またある者は星を去っていった。「食いしん坊くん」を連れて星を去ろうとする者もいたが、その生物の食欲をコントロールする術を持たなかったが故に悲惨な最期を迎えた。

 アローラからの旅人が訪れた頃に「食いしん坊くん」の数が減ってきているのは、彼らが寿命を迎えつつあるのか、もう食べる物がその星に残っていないからなのか、それとも同じような運命を辿る星の住人が密かに捕まえて持ち帰っているからなのか。いずれにしても、悲しい話である。それらを考察する人間も、もう既に1人しかいないのだから。

 

 

発電所について

 主人公のいる世界ではハウオリシティに発電所など存在しないが、後々そこに関わるかのようにも見える人間が、ハウオリ役所にいる。

 それが彼だ。

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 無論、彼が必ず発電所に関わるかどうかは不明だが、少なくとも「生活のために街の機能を広げようとする人間がいる」ということは頭の片隅に留めておきたい。

 

 そして発電所が必要となるということは、アローラに人が増えるという可能性も十分に考えられる。ではアローラに人が増える条件とは何だろうか。それに関しても、何かを示唆しているように見える人物がハウオリシティの観光案内所に存在している。

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 あまり考えたくはないが、もしポケモンリーグが完成し人を呼ぶことに成功した影響で発電所が作られるのだとしたら、既にアローラ地方は破滅に向かっているのかもしれない

 

キャッチコピーに込められた意味

 最後にウルトラサンムーンの原点である、PVとキャッチコピーに立ち返りたい。


【公式】 もはやここはキミの知っているアローラではない。『ポケモン ウルトラサン・ウルトラムーン』PV

 ここで注目したいのは「闇の予兆は確かにあった。もはやここは、キミの知っているアローラではない」というキャッチコピーである。

 ここまで読んできた方ならもうお分かりかと思うが、これは驚くほどウルトラビルディングに共通したキャッチコピーなのである

 

 では、実際に写真と文章で見てみよう。

 

「闇の予兆は」

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「確かにあった」

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「もはやここは」

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「キミの知っている」

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「アローラではない」

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 果たして、このキャッチコピーはどのアローラ地方を指していたのだろうか?

 

 

さいごに

 というわけで毎回恒例となりつつあるポケモン考察記事シリーズ、ウルトラサンムーン第1弾はウルトラビルディングについてでした。

 今回は沢山写真を撮ったので沢山写真を使った記事にしてしまいましたが、その分見づらかったりとかしないか心配です。

 ウルトラビルディングからウルトラホールを通って逃げて来た人間がウルトラ調査隊のご先祖様なのでは?という考察も見かけましたが、こちらはそうだったら楽しいなぁと思うばかりです。

 

1/19追記編集

 以下、少し宣伝です。

www.pixiv.net

 今回の考察を基に書いたウルトラビルディングについての小説をpixivに投稿しています。ウルトラビルディングにウルトラ調査隊がやって来てある物を発見し……というお話です。

 こちらもぜひよろしくお願いいたします。。

 それから、もしもポケモン公式側の方がこの記事などを読んでポケモンだいすきクラブポケモンライターとして起用したい、とお考えでしたらぜひお声かけいただければ幸いです。商業経験があるのは記事、小説、シナリオです。

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